NETFlIX「ぼくらを見る目」【ネタバレ有】(そしてコーリー役のジャハール・ジェロームがすごい)
視聴前は若干の勇気が必要かと思った。
1989年に起きた、セントラルパーク内での壮絶なレイプ事件の容疑者として
誤認逮捕された5人の10代の黒人の子供たち(セントラルパーク5)ついての話。
むごい暴力に見舞われた被害者の女性と、
えん罪被害者であるセントラルパーク5の子供たちとその家族。
自分の思い込みだけで真実と向き合おうとしない人間と、
それに加担してムードを作ってゆく周りの人間たち。
大衆を扇動すればいかようにも権力を行使でき、真実も変えることができるという
悲しいけどありがちな光景。
しかもそこには人種差別が絡んでいる。
後に、真犯人が宗教に目覚めたことで自白。
5人の無実は真犯人によって証明される。
その真犯人が自白に至ったのは、セントラルパーク5のうちの一人、
コーリーと厚生施設で偶然接触したことがきっかけ。
彼の犯した罪を着せられていたコーリーと出会わなければ、その懺悔もなかったかもしれない。
本当に言ったかは別として数年後再会した真犯人はコーリーにこう語りかける。
「君は希望を持っている。信念も。両方持ち続けた。頑張ったな」
まるで救世主のようなセリフ。
改めて神の存在について考えさせられる。
話の後半は、このコーリーに焦点を当てて進められる。
セントラルパーク5演じるキャストたちは、
少年期~青年期でそれぞれ違う方が演じているのだが
コーリー役だけは、ジャハール・ジェローム(JarrelJerome 敬称略)ひとりで全て演じている。
彼がとても素晴らしかった。
少年期(16歳)では、くりくりとした瞳が印象的な
お気楽でキュートなキャラクター。
その後捕まってしまってからは、常に落ち着きがなく、そのキュートな瞳は
恐怖で常に見開かれており、少年の非力さがこの上なく表現されている。
若さと性格からの無邪気な明るさと、見えない恐怖への怯えを混ぜ合わせたような表情に、終始ひきこまれっぱなし。
黒人だから、性犯罪者だから(えん罪だけど)、早く罪を認めさせたいから、
理由は不明だけど理不尽な暴力に何度も見舞われながら、
一生出られないかもしれない檻の中でじっと耐えなければならない。
信じられる人間が誰もいない世界で。
でも、罪を認めるサインすれば出られる、という誘いには乗らず、
かたくなに「自分は無罪」を貫き通す。
そんな中で、コーリーを「キッド」と呼んで唯一親身になってくれる
アッティカ更生施設の看守の存在は貴重。
交流はささやかながらも、見ているこちらもほっとできる。
アッティカでのある日、コーリーの兄の訃報が届く。
(兄はトランスジェンダーであることで母ともめ、家を出ており疎遠だった)
牧師から他人事のように「君の力になるよ」と言われ、取り乱して暴れてしまうコーリー。
気丈にふるまっていたけど、耐え難い現実と孤独に押しつぶされそうだったんだと気づかされる。
そんな暴れる彼を看守が何も言わず強く抱きしめる。
最も印象深かったシーンです。
ジャハール・ジェロームのことは映画「ムーンライト」で初めて存じ上げました。
(というかこのドラマとこの映画でしかまだ知らないです・・・)
ムーンライトでの役は、主人公の同級生、ケヴィン。
大人っぽい余裕と色っぽさをまとっていて、
主人公シャロンのいつも悲しそうな怯えた表情との対比が印象的。
常に落ち着いた「流し目」でシャロンをドギマギさせていたので、
今回の「ぼくらを見る目」でのコーリーを見た時、一瞬同じ人とは気がつかなかった。
・・・・とかのろのろと書いていたら、エミー賞2019にて
リミテッドシリーズ&テレビ映画部門・主演男優賞を受賞とのこと!
今後出演作品がたくさん見られるようになるといいなぁ。
(NETFLIXジャパン様、日本未配信のファースト・マッチお願いします・・・・)
AXNでやってる「ミスターメルセデス」にも出演してるようなので
こちらも気になる・・・(できたらネトフリとかアマプラでも配信プリーズ・・・・)
JarrelJeromeで画像検索してみると、ケヴィンモードのスタイルがたくさん。
(とりあえずありがたく保存しまくりました)