丸いすべすべした石

これは、私が見たTVドラマや映画、本などの「感想文」です。 「あの作品、どうだった?」的な「雑談」ととらえていただければ幸いです。 基本、「オススメ」したい作品のみ書き連ねております。

ケン、ごめん 映画「バービー」ネタバレ感想

正直に告白すると、バービーで遊ぶとき、彼女の友人や親は必須だが
ボーイフレンドは「いなくてもいいかな・・・」という扱いが常だった。
恋愛がらみのゴタゴタに興味がわくのはもう少し後だからかもしれない。
だから、そもそも「ケン」を持っている子は少なくて、持っていたとしてもじゃんけんで負けた子が
仕方なしにお母さん役と兼任で担当する、なんて具合だった。

そんなわけで、バービーランドは毎日ガールズナイト!になる。
リアルワールドで遊んでいる子たちはその方が盛り上がる年齢なのだから。

だから、この映画でのケンへの扱いの描写にはっとした。

ケンはバービーに認められたいのに、彼女はそれを知りつつもないがしろにし、「おまけ」として軽く扱っている。
会話も、ケン:「ぼくの仕事って何?」バービー:「ただのビーチの人とか?」とか、うろ覚えだけどこんな調子だ。
ひどいから・・・、と苦笑いしつつなんとなく居心地が悪くなる。
その後、リアルワールドでの「マッチョ」な部分をケンが大いに気に入り、急速にどっぷりつかってしまうが、責められない気分になる。
マッチョになったケンの行動は、デフォルメされているから笑えるけれど、ものすごく切ない気分にさせる。

原因を作ったのはバービーたちと、ケンを実際に「おまけ」としか見ていなかった自分たちも含まれるからだろうか。

この映画は決して、分断をあおる内容ではない。
お互いに尊重しあおう、立場を想像できるようになろう、大変だけど。というすごく直球でシンプルな内容だ。
人形を主役にしているからこそのデフォルメと容赦ないジョークも内容にぴったり合っている。
とにかく感情が揺さぶられる素敵な映画であった。

 

公開前のバーベンハイマーのことは非常に残念であったし、傷ついた。
しかし、この話もまた、他者への解像度の低さが発端だ。
これを機に原水爆投下をジョークにしてほしくない旨をしつこく主張するとともに、
日本が犯したあらゆる過ちを検証して二度と繰り返さないと示し続けないと伝わらないだろう。


補足
1973年生まれの私の子供時代は、お人形といえば「リカちゃん」だった。
したがって、実際は「リカちゃん」や「ジェニー」で遊ぶ方が多かったことはお伝えしておきます。
ちなみに当時の私は彼女たちにまったく興味がなかった。
私の中での「可愛い女の人」はもっとセクシーなタイプだったからだ。
だからバービーを発見したときはタイプど直球だった事に心が踊ったことも忘れられない。